第5章 その2
絶句しました。完全に当たっていました。思い当たる事だらけです。
僕が行く先々には、まるで引き寄せられるかのようにイジメ連中が集まって来る。中学ではなんと初日の入学式、中学生活が始まってわずか1時間で。出席番号が1番だったからなんて、僕の行動で回避できる理由ではありません。復学後も、来るわ来るわ4グループ約20人ものイジメ連中が集まって来た。
高校で受けたイジメは学校の歴史をも変え、仲の良い上位半分の全員が隣のクラスで、下位半分の全員が同じクラスになるという、5億分の1と言う逆奇跡のクラス分けが現実に起こった。
努力の集大成として臨んだボイスサンプルで、完璧な物が録れ、ついに夢に手が掛かったと思ったら、僕の努力や技術とは無関係なところで、大した面識もない赤の他人のエンジニアさんのあり得ないチョンボで消されてしまい、人生のチャンスを壊されてしまった。
さらに調べようと図書館で姓名判断の本を何冊も借りて読み漁りましたが、読めば読むほど「負」しかなく、何項目もある診断結果には、「大凶」「大凶」「大凶」「大凶」「凶」「大凶」「大凶」「凶」「大凶」「大凶」と、信じられない光景が並ぶのでした。
勿論こんなに全ての項目が悪い名前なんて、そうそうある物ではありません。何かの映画の中で【確率的にそれを引き当てるのはあり得ない例え】として、「サハラ砂漠で一粒のダイヤを拾うようなものだ」と言うセリフがありましたが、僕の名前は悪いほうにそんな感じで、よくぞここまで、よりにもよってのピンポイント。
合点が行きました。これまで僕の身に起こった数々の信じられない不運は、僕の名前が引き寄せていたのです。「確率的にありえない負」、それは僕の名前そのものだったのです。
そして、この名前を付けた母に対し、思いつく限りの罵倒を言いました。「なぜ名前を付ける時、5分だけでも姓名判断の本を見なかったのか。
見れば、この名前だけはダメな事が分かる。お前らが5分の努力をしなかったせいで、俺は人生を失った。20年間イジメられた。努力してやっと掴みかけた夢も名前のせいで失った。なぜ無限にある名前の中で唯一ダメな名前をわざわざ選んだのか!」イジメへの対応と名前の件で、僕は人生に「負」しかない事を全て母のせいにしました。
中学の時の荒れは、まだ「将来になれば」との希望がありましたが、今回は歯止めや慰めになるような救いが見当たりません。負の原因が解り母を責めても、もう1度子供の時からやり直す事はできない。暴れれば気持ちが収まるという事すらないのです。
僕は名前を変える事にしました。今にしてみれば、本名とまったく違う名前を考えても良かったのかもしれませんが、この時は呼び名が変わる事に違和感を感じたため、読みはそのままに、漢字のみを変える選択をします。
平仮名や片仮名を混ぜるパターンも含め、様々な候補を書き出しましたが、どんな字の組み合わせにしたとしても、姓名判断では必ずどこかしらに良い箇所があるもので、それが1つもない本名は、本当によりにもよっての名前なのだと再確認しました。
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