第3章 その1

僕は4年制の夜間定時制高校へ進学しました。楽しい思い出も多い高校生活ですが、イジメの陰湿さは中学時代をさらに上回ります。

1年生の時はイジメもなく、問題なく過ごせました。友人もでき、成績も良く、文化祭や体育祭などの行事では中心的存在にもなりました。2学期の途中からサッカー部に入部したのですが、しかし問題が起こったのはそのサッカー部ででした。

部員は4年生が数名と、僕ら1年生が5人しかいませんでした。そしてそのうち3人がいわゆる「イジメ気質」の奴らだったのです。先輩が居る時は問題なかったのですが、4年生が卒業し、部員が新2年生となる僕ら5人だけになると、学校の歴史さえ塗り替えてしまうほどのイジメが始まります。

イジメ気質の3人はもう1人の部員、気弱なF君を小馬鹿にしていました。僕がそれを庇うと、イジメの矛先は僕に向いてしまったのです。前年に僕だけは練習も真面目だったので先輩に気に入られていた事や、他の連中はみんな守備要員に回される中、1年生で僕だけが攻撃的なポジションに起用された事なども、連中は気に喰わなかったのかもしれません。

練習中の1時間、ずっと僕の悪口を大きな声で言い続ける。必死にプレーする僕の姿をケタケタと笑う。僕がボールを持てばわざと足や体を狙って蹴って来る。勿論「ボールを取ろうとしてるだけ」と言うが、ボールを手放した後も数秒は蹴って来る。履き替えるために出した僕のスパイクを蹴り飛ばす。ミニゲームではチーム分けに関わらずなぜか1対4の対戦になる。練習の場には審判どころか、顧問もいないので、僕に言いがかりの判定を言って来る。明らかにそうではないのだが、証言は常に1対3になる。僕だけにパスを回さない、あるいはシュートのように思い切り蹴ってぶつけて来る。そのボールをトラップできないと悪口を言う。片づけを押し付ける。その際、わざとボールを遠くに蹴り飛ばし、ケラケラと笑いながら自分達はすぐに帰る。

彼らはやりたい放題、思いつく限りの嫌がらせを仕掛けてきました。僕はそれでも、あくまでもサッカーをしてゴールを決め続けました。F君とは彼を助けた直後は仲良くなったのですが、いざ僕へのイジメが本格化するとイジメに積極的加担はしないものの、連中の子分のようになっていました。

またクラブがグラウンドを使用したり、大会に出場するには、代表者が学校の会議へ出席したり、書類記入などの手続き作業をしなければいけません。その仕事を僕に押し付けるのは良いとして、本来その役割は各クラブの主将がやる事になっているため、登録上、僕が主将となると、それが気に喰わないので嫌がらせが加速。「お前がキャプテンだなんて認めねえ」と言う事なのでしょう。僕が「それならそれで構わないが、じゃあ主将が担う仕事をやれよ」と言うと、それはやりたくないようで、F君に主将を押し付けていました。実に滑稽な話です。しかしF君もまともには動かないので、結局は僕が動きました。

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