第2章 その3

そんな中、僕は3年生からの復学を決めました。理由は、1年生の時と同じです。将来に繋げるためには、学校に行かなければいけないと思ったからでした。当時は単位制や大検などの選択肢を知らず、復学以外に方法が思いつきませんでした。

しかし、復学した僕を待っていたのは、なんと4つものグループからのイジメでした。「今まで学校に来なかった奴が、急に来始めた」って物珍しさだと思いますが、クラス内から他クラスから、来るわ来るわ、わんさか総勢20人ほどでしょうか、あっちこっちの連中が次から次へと、入れ替わり立ち替わり僕にちょっかいを出してくるのです。

どのグループも、積極的に絡んでくる奴1人を中心に、数人がつるんでいる構成です。単独で絡んでくる奴は1人も居ません。その中に、1年の時に僕をイジメた集団の主犯はいませんでした。彼は僕と顔を合わせるとバツが悪そうに僕を避けました。2年前、僕が学校に行かなくなった時、おそらく先生から相当に叱られたのでしょう。自分が人ひとりを学校に来れなくさせた重大性を認識したのかもしれません。

しかし彼が絡んで来なくても、僕に絡んでくる奴はいくらでも居ました。中でも特に最も酷く絡んで来たのは隣のクラスの集団で、特に主犯は文字通り心が無く、暴力を含めいちいち嫌がらせをしてきました。最初はその主犯の後ろでヘラヘラ見てるだけの連中も、途中から足を引っかけて来たり、ゴミを投げつけてきたリ、唾をかけてきたリ。体育の授業はそのクラスと合同だったため、僕は体育には出なくなりました。

別のグループには、こんな奴も居ました。修学旅行先で僕に絡んで来た奴に、僕は相手が気に入らない言い返しをしたようです。するとそいつはその後、集団で部屋に押しかけてきて僕を恫喝、膝蹴りもされました。まったくもってヤンキーらしい話ですが、彼らは個人間のトラブルに、仲間を大勢引き連れて報復に来るのです。母と兄にと思って買ったお土産の一部も盗まれました。

勇気を振り絞って参加した修学旅行でしたが、期間はまだ2日間ほど残っており、「来るんじゃなかった、なんで来てしまったのか」と心から後悔しました。家なら布団に潜り込んで逃避もできますが、修学旅行先ではそれすらも出来ません。

また、出発前の学校側からの説明の中に「問題を起こした生徒は、旅行途中でも強制的に帰宅させる」との警告があったので、僕は先生達が彼らを強制帰宅にしてくれる事を心から期待しました。でもその処分は科されませんでした。世の中が加害者を守るようにできている事を痛感した出来事でした。暴力や窃盗をした者が強制帰宅の対象外なら、そもそもこの規約自体がハッタリだったと言う事なのでしょう。

「彼らを帰さないなら、僕を家に帰らせてくれ」とも思いました。しかしそれも許して貰えないと解っていたので言えませんでした。こんな気持ちの状態で残り日程のスケジュールをこなすのは本当に辛い時間でした。

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